伊藤病院

検査項目と基準範囲

※各検査項目の基準範囲は伊藤病院独自の設定もありますので、他施設とは多少異なる場合があります。

■甲状腺についての検査項目と基準範囲

検査項目 正式名 説明 基準範囲
(単位)
甲状腺機能検査 FT3 遊離トリヨードサイロニン 甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンです。細胞の新陳代謝を盛んにし、新生児や子供の発達・成長にも不可欠なホルモンです。ヨウ素を4個持っているものがFT4、ヨウ素を3個持っているものがFT3です。 2.2~4.3 (pg/mL )
FT4 遊離サイロキシン 0.8~1.6 (ng/dL )
TSH 甲状腺刺激ホルモン 甲状腺ホルモンの分泌を促すホルモンで、脳下垂体から分泌されます。 0.2~4.5 (μIU/mL )
甲状腺抗体検査 TRAb 抗TSHレセプター抗体 甲状腺を刺激する自己抗体(注1)で、バセドウ病では90%以上が陽性を示します。 2.0未満 (IU/L)
TSAb 甲状腺刺激抗体 TRAbと同じく、甲状腺を刺激する自己抗体(注1)で、バセドウ病では陽性を示す確率が高いです。 120以下(%)
TgAb 抗サイログロブリン抗体 甲状腺でつくられるサイログロブリンという蛋白質に対する自己抗体(注1)です。慢性甲状腺炎(橋本病)で陽性となることが多く、バセドウ病でも陽性となることがあります。 40以下 (IU/mL)
TPOAb 抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体 甲状腺ペルオキシダーゼという酵素に対する自己抗体(注1)です。慢性甲状腺炎(橋本病)で陽性となることが多く、バセドウ病でも陽性となることがあります。慢性甲状腺炎(橋本病)の診断の指標として用いられていますが、値が高いから重症、病気が進行しやすいなどを判断するものではありません。 28以下 (IU/mL )
甲状腺関連蛋白質検査 HTg サイログロブリン 甲状腺の細胞で作られる蛋白質です。この蛋白質は甲状腺ホルモンの産生や、作られたホルモンを貯蔵する役割をしています。結節性甲状腺腫以外に亜急性甲状腺炎、バセドウ病や慢性甲状腺炎などでも上昇します。腫瘍マーカーとして、甲状腺悪性腫瘍の甲状腺全摘出術後の経過観察に用いられますが、良性の病変でも上昇することがあるため、高値=悪性とは限りません。 33.7以下 (ng/mL )
副甲状腺検査 PTH-I 副甲状腺ホルモン 副甲状腺で作られるホルモンです。血液中のカルシウム濃度を調節する作用があり、分泌が高まると、骨に蓄えられているカルシウムが血液中に放出され、血液中のカルシウムが増加します。 15~65(pg/mL)
ホルモンについての検査項目と基準範囲
(注1)自己抗体
細菌やウイルスなどの微生物や異物が体の中に侵入してくるとこれらに抵抗する物質(抗体)が作られます。しかし何らかの原因で、自分の細胞に対して抗体をつくってしまい自分の体を攻撃してしまうことがあります。この抗体を〈自己抗体〉といいます。

■血球算定についての検査項目と基準範囲

検査項目 正式名 説明 基準範囲
血球算定検査(血算) RBC 赤血球数 赤血球数の増加の場合、多血症といいます。また、赤血球数が減った状態を貧血といいます。 男:435~555(万/μL)
女:386~492(万/μL)
Hb ヘモグロビン ヘモグロビンは酸素を全身へ運ぶ役割を果たしています。ヘモグロビンが低下すると酸素の運搬量が低下して体内が酸欠状態になります。 男:13.7~16.8(g/dL)
女:11.6~14.8(g/dL)
Ht ヘマトクリット 一定量の血液中に含まれる赤血球の体積の割合を調べる項目です。貧血のタイプを知るのに用いられます。 男:40.7~50.1(%)
女:35.1~44.4(%)
MCV 平均赤血球容積 赤血球の占める容積の平均値で、赤血球の大きさがわかります。 84~98(fL) 
MCH 平均赤血球ヘモグロビン量 個々の赤血球中に含まれるヘモグロビン量の平均値です。 28~33(pg)
MCHC 平均赤血球ヘモグロビン濃度 個々の赤血球の容積に対するヘモグロビン量の割合を表したものです。 32~35 (%)
Plt 血小板 血小板は出血したときに血液を固めて、止める働きをしています。出血しやすさや出血を止める働きを推定できます。 15.8~34.8(万/μL)
WBC 白血球数 白血球は病原微生物に対して体を防衛する働きがあります。
細菌などの異物が体に侵入してくると骨髄で盛んにつくられ、血液中の白血球数が増えてきます。
末梢血液中の白血球数を測定することにより、白血球の増減が明らかとなり、体の状態の把握や病気を推定することができます。
3300~8600(/μL)
Neu 好中球 感染や急性炎症に最も早くに反応する白血球です。 病態により異なります。
Lym リンパ球 免疫の役割を担う白血球です。
好中球が食べ遺した細菌の後始末や異物を取り込む働きをします。
Mo 単球
Eo 好酸球 アレルギー反応を起こすと増加します。
Ba 好塩基球
血球算定についての検査項目と基準範囲

■生化学検査項目と基準範囲

検査項目 正式名 説明 基準範囲(単位)
肝・胆機能検査 TP 総蛋白 血液中の様々な蛋白質の総量です。 6.6~8.1 (g/dL)
Alb アルブミン 血清総蛋白の約50~70%を占めカルシウムやビタミンなどの栄養素を細胞に運び、細胞からは不要物を回収する役割をしています。栄養状態の悪化や肝障害が起こると値が低くなります。 4.1~5.1 (g/dL)
T-Bil 総ビリルビン ビリルビンは、古くなった赤血球が破壊されるときに生成される黄色い色素です。胆のう、十二指腸、便という経路で出て行くので、これらの臓器などに障害が起きると上昇します。黄疸の指標です。 0.4~1.5 (mg/dL)
AST アスパラギン酸
アミノトランスフェラーゼ
細胞内でつくられる酵素で、主に肝臓、骨格筋、腎臓などに多く存在していてこれらの臓器に障害が起きると血液中の濃度が増加します。 13~30 (U/L)
ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ 主に肝細胞に存在している酵素で、肝臓障害時にはASTより鋭敏に上昇します。 男:10~42 (U/L)
女: 7~23(U/L)
LDH 乳酸脱水素酵素 肝臓や腎臓、赤血球などに特に多く含まれている酵素で、これらの臓器などに異常が現れると上昇します。 124~222 (U/L)
γ-GTP γ-グルタミルトランスペプチダーゼ 肝臓の解毒に関与する酵素で、肝臓や胆管に異常が現れると血液中の濃度が上昇します。特にアルコールで肝臓が障害されると異常値を示すのでアルコール性肝障害の診断にも用いられます。また、薬物性肝障害の指標にもなります。 男:13~64 (U/L)
女: 9~32 (U/L)
ALP アルカリホスファターゼ 肝臓や骨、小腸などに多く含まれる酵素です。主に肝臓と骨の異常により血液中で上昇します。甲状腺機能亢進症では、骨の新陳代謝が活発になっており上昇することがあります。また、小児・妊婦では高値を示します。 106~322 (U/L)
ChE コリンエステラーゼ 肝細胞で合成・分泌される酵素のため、肝臓の合成能の指標となります。 男:240~486 (U/L)
女:201~421 (U/L)
筋関連検査 CPK クレアチンホスフォキナーゼ 主に骨格筋・心筋などに多く存在する酵素で、これらの組織が障害を受けると細胞からCPKが血液中に流れ出し、血液検査で高値を示すようになります。 男:59~248 (U/L)
女:41~153 (U/L)
腎機能検査 CRE クレアチニン クレアチニンとは筋肉で作られる代謝産物の一つで、通常は腎臓でろ過され殆どが尿中に排出されます。しかし腎機能が低下すると尿中に排出されず血液中に蓄積されるため腎機能の指標となっています。 男:0.65~1.07 (mg/dL)
女:0.46~0.79 (mg/dL)
BUN 尿素窒素 体内のたんぱく質の代謝産物が尿素窒素です。尿として排出されますが、腎臓の機能が低下していると尿素窒素の排出量が減って体内に残り、血液中の濃度が上昇します。 8~20 (mg/dL)
尿酸代謝 UA 尿酸 プリン体という物質が体内で分解されてできる代謝産物を尿酸といいます。尿酸の濃度が高い状態が続くと痛風の原因になります。 男:3.7~7.8 (mg/dL)
女:2.6~5.5(mg/dL)
電解質・無機質検査 Na ナトリウム 体内の水分量を適切な状態にしています。脱水、腎障害、下垂体や副腎由来ホルモン異常により低値や高値になります。 138~145 (mEq/L)
K カリウム 神経や筋肉を正常に動かすために働くなど、生命活動の維持調整に重要な役割を果たします。 3.6~4.8 (mEq/L)
Cl クロール Naと共に体内の水分の均衡を保っている大切な存在です。バランスが崩れると腎障害や呼吸筋障害などを引き起こします。 101~108 (mEq/L)
Ca カルシウム 骨や歯などをつくっている物質です。副甲状腺ホルモンやビタミンDなどによって血液中や体液中のカルシウム濃度が一定に保たれています。 8.8~10.1 (mg/dL)
P 無機リン カルシウムとともに骨の重要な構成成分です。副甲状腺ホルモンや成長ホルモン、ビタミンDなどによって調節されています。 2.7~4.6 (mg/dL)
脂質代謝検査 T-C 総コレステロール 血液に含まれるすべての種類のコレステロールをあわせた総量のことです。過剰になると心筋梗塞、脳梗塞など動脈硬化性疾患の原因となります。 120~220 (mg/dL)
TG 中性脂肪 体を動かすエネルギー源となる物質で、食事の影響を受けやすい物質です。血液中に入り、使い切れず余ったエネルギーが中性脂肪として蓄えられます。その後必要に応じて利用されます。 50~150 (mg/dL)
HDL-C 高比重リポ蛋白コレステロール 善玉コレステロールと呼ばれ、低値となると血管を硬化させ動脈硬化を促進します。 40~100 (mg/dL)
LDL-C 低比重リポ蛋白コレステロール 悪玉コレステロールと呼ばれ、高値となると血管を硬化させ動脈硬化を促進します。 70~139 (mg/dL)
糖代謝検査 GLU グルコース(血糖値) 血液中のブドウ糖の濃度のことで、インスリンをはじめとするホルモン等によって調整されています。食事の影響を受けやすい項目です。 73~109 (mg/dL)
HbA1c グリコヘモグロビン 1~2ヵ月間の血糖の平均的な状態を知ることができます。血糖コントロール状態の目安となります。 4.6~6.2 (%)
炎症反応 CRP C反応性蛋白 体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに血中に現れるタンパク質です。炎症の程度などを知るための指標となります。 0.14以下 (mg/dL)
生化学検査項目と基準範囲

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