ヨウ素(ヨード)は、主に昆布・わかめ・のりなどに含まれている体になくてはならないミネラルです。そこで、ヨウ素の入った食品は体に良いとされて、健康食品の中に大量に入っていたりします。しかし、体に必要なヨウ素はわずかで一日0.095〜0.15mg(昆布:40~60mg相当)と言われています。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの主原料です。甲状腺の中にヨウ素が取り込まれ、甲状腺ホルモンを合成します。甲状腺ホルモンは、新陳代謝を促し、子どもの場合では成長ホルモンとともに成長を促進する働きをするため、ヨウ素が足りないとこれらの機能が低下します。
日本では昆布を多く摂取する食習慣がありますので、ヨウ素が欠乏することはほとんどありません。しかし、世界の多くの国ではヨウ素の摂取が足りないため、食塩や水にヨウ素を入れて十分摂取出来るように工夫しています。
ヨウ素は、甲状腺ホルモンを作るために必要な一方、毎日多くの昆布を食べ続けるなど過剰に摂ると、甲状腺ホルモンが作られなくなり甲状腺機能低下症となることがあります。昆布を毎日摂取することは、ヨウ素過剰になります。この場合はヨウ素の摂りすぎを止めると自然に回復します。
ヨウ素の摂取を制限しないとバセドウ病の薬が効きにくい、バセドウ病が再発しやすくなるなど意見がありますが、これが事実かどうか、一体どれぐらい制限したらよいのかなどはまだ不明です。
ヨウ素欠乏地域ではヨウ素過剰摂取によりヨウ素誘発性機能亢進症を発症することが報告され、バセドウ病の方はヨウ素過剰摂取を避ける必要があります。しかし、日本はヨウ素充足地域であり、通常量なら摂取してもよいでしょう。ただし、アイソトープ(放射性ヨウ素)検査の前など一時的にヨウ素を制限していただく場合もありますので、その際はご説明します。
昆布類などヨウ素を大量に含んだものを摂り続けると、甲状腺のはれが大きくなり、甲状腺機能が低下する方がいます。その際は、ヨウ素の過剰摂取をやめると元に戻ります。