ヨウ素(ヨード)は甲状腺ホルモンの主原料です。 甲状腺ホルモンは新陳代謝を促したり、子どもの場合では成長ホルモンとともに成長を促進する働きをするため、ヨウ素は体になくてはならないミネラルです。
そこで、ヨウ素の入った食品は体によいとされて、健康食品のなかに入れられていたり、昆布を主原料にした食品が推奨されています。しかし、体に必要な甲状腺ホルモンを作るのに必要なヨウ素(推奨量)はわずかで、成人では一日0.13mgです。
ヨウ素は、日本人が口にする食品のなかには大なり小なり含まれています。特にたくさん含まれているのは下の図にあるように海藻類で、なかでも昆布が群を抜いており、次がひじきです。わかめ、海苔に含まれる量はこの2つと比べるとはるかに少量です。日本人は海藻を好んで食べるため、世界で一番ヨウ素を摂取している国民です。このほか魚、肉、穀類にもわずかですがヨウ素が含まれています。
また食物でなくても、のどの炎症や歯の治療などの消毒に使うルゴールの主成分はヨウ素ですし、レントゲン検査のときの造影剤には多量のヨウ素が使われているものがあります。
このように私たちは普段から、知らず知らずのうちに必要量以上のヨウ素をとっているため、ヨウ素不足を心配する必要はまずありません。また、甲状腺にはヨウ素をとり過ぎても問題の起こらない仕組みがありますので、普段はヨウ素のことを気にかける必要はありません。
ただし、アイソトープ(放射線ヨウ素)検査・治療をする場合には、ヨウ素による影響を受けるため、1~2週間ほどヨウ素をたくさん含む食品を制限する必要があります。
アイソトープ(放射線ヨウ素)検査・治療は、ヨウ素が甲状腺に集まるという特性を利用して行うため、検査・治療を受ける患者様については、1~2週間ほど前からヨウ素を多く含む食品の制限をしていただくことになっています。
そのため当院では、入院されている患者様に「ヨウ素制限食」をご提供しています。
外来で治療・検査をされる患者様には、ご自宅で作りやすい「ヨウ素制限食」メニューのレシピをご紹介していますので、ご自宅でのヨウ素制限にお役立てください。また、ヨウ素制限が必要でない方にもおいしく食べていただけるよう工夫していますので、毎日の献立のご参考にぜひご覧ください。
食品添加物中の「アミノ酸」は、ヨウ素類ではありませんので飲食されても結構です。期間中の外食や中食(デリバリーや市販の惣菜の購入)は避けたほうが無難ですが、やむを得ない場合は洋食(ただし和風○○という料理は避ける)を選んでください。
また、冷凍食品やカップ麺類などの加工食品には、昆布や海藻(昆布エキス・海藻エキス)が入っている商品が多々あります。加工商品には原材料名が必ず表示されていますので、購入の際は必ずお確かめください。成分のわからない食品については避けていただくのがよいでしょう。
適量であれば飲んでもかまいません。(適量は、ビール中瓶1本、日本酒1合、焼酎(25度)コップ1杯、ウイスキーダブル1杯くらいと言われています)
ただし、甲状腺機能の高い方は飲酒をお控えください。
甲状腺機能への影響については医師におたずねください。