良性腫瘍
甲状腺が大きくなった状態を一般に甲状腺腫と呼びます。その中で、部分的にしこりのようにはれる場合を「結節性甲状腺腫」といいます。結節性甲状腺腫の中には、良性腫瘍と悪性腫瘍が含まれますが、良性腫瘍には、濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)、腺腫様甲状腺腫や、甲状腺嚢胞(のうほう)、機能性結節が含まれます。濾胞腺腫が真の腫瘍であるのに対し、腺腫様甲状腺腫は甲状腺の細胞が増殖(過形成といいます)して、しこり状に発達しているものです。腺腫様甲状腺腫あるいは腺腫様結節の方が、濾胞腺腫より多くみられます。
種類
- ◆腺腫様甲状腺腫
- 腺腫様甲状腺腫は、甲状腺の細胞が増殖(過形成といいます)して、しこり状に発達しているものです。しこりが1個もしくはごく少数の場合には、腺腫様結節と呼ぶこともあります。ただ、濾胞腺腫と腺腫様甲状腺腫の二つのしこりを鑑別することは、かなり困難です。この病気は本来良性ですが、時には一部にがんが含まれていることがあります。したがって、きちんと鑑別診断を受けることが大切です。
- ◆濾胞腺腫
- 大きさは、触るとやっとわかる程度のものから、下が向けなくなるほど大きなものまであります。
- ごくまれに、しこりが甲状腺ホルモンを過剰に生産し、バセドウ病のように甲状腺機能亢進症の症状を現すことがあります。これは、この病気を初めて報告したアメリカの医師の名前をとって、プランマー病(中毒性単結節性甲状腺腫);機能性結節と呼ばれています。日本人にはまれといわれていましたが、最近は検査法の進歩により発見されることが多くなりました。
- ◆甲状腺嚢胞
- 甲状腺嚢胞のうち、本当の意味での嚢胞(真性嚢胞)は少なく、ほとんどは、腺腫様甲状腺腫や濾胞腺腫の内部で変性や出血が起きて水風船の様に膨らんできた続発性嚢胞です。ただ、どちらの場合も、臨床的には差がなく、嚢胞として診断します。