バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られる状態である甲状腺機能亢進症を起こす代表的な病気です。
女性に多い病気であり、男女の比率は男性1人に対して女性5~6人程度です。甲状腺の病気のなかでは比較的男性の比率が高い病気です。20~50歳代の方に発症することが多く、中でも30~40歳代の方の発症が最も多く認められます。
バセドウ病の発症は、体をまもる免疫システムの異常が関係しています。
免疫はウィルスや細菌などの外敵に対する“抗体”を作ることによって体を守る大切な仕組みです。しかし、外敵ではなく自分自身の体を攻撃する抗体(自己抗体)が作られてしまうと、それによって病気が引き起こされることがあります。これが「自己免疫疾患」であり、バセドウ病もそのひとつです。なぜこのような抗体ができるのかはまだ解明されていません。
バセドウ病では、自己抗体(TRAb、TSAb)が甲状腺を刺激することにより甲状腺ホルモンを過剰に産生します。
バセドウ病は複数の原因が関与して発症すると考えられています。バセドウ病に罹患している方の15%くらいには家族内に同じ病気の方がおり、遺伝的な要因も関与しているようです。しかし、そればかりではなく、出産などの大きな体内環境の変化後に発症することもあり、このような遺伝的ではない要因も発症に関与していると考えられています。