ホルモンが安定しても眼症状が続くことや悪化することがあります。眼症状に精通している眼科の専門医を受診し、症状の評価、適切な治療の選択が必要です。また、喫煙は眼症状の増悪因子ですので、禁煙が必要です。
バセドウ病で甲状腺ホルモンが過剰な状態が長期にわたり継続すると、心臓が過剰な働きを強いられて疲弊し、不整脈や心不全(心臓の働きが悪くなる状態)を引き起こします。とくに高齢者は影響を受けやすいのですが、若い方でも起こることがありますので注意が必要です。甲状腺の治療で甲状腺ホルモン値を正常化させることが一番重要ですが、心不全や不整脈の治療も同時に行う必要があります。
十分な治療を行なっていない甲状腺機能亢進症を持つ方が、強いストレス(大きな手術、重い感染症など)を受けた時に起こりうる状態です。症状は、意識の混濁、38度以上の高熱、頻脈(1分間に130回以上)、下痢などの胃腸の症状、心不全の症状などです。現在は治療法も進歩していますが、それでも命をおとす危険性もあります。適切な治療を受け、甲状腺機能を安定した状態に保つことが大切です。
甲状腺ホルモンが高い時に、暴飲暴食や激しい運動をした翌朝などに手足が動かなくなることがあり、これが周期性四肢麻痺です。アジア人の男性に多く、長くても数時間で自然に治まりますが、甲状腺ホルモンを正常化しないと繰り返します。
甲状腺ホルモンが高い時には血糖値も高くなる傾向があります。もともと糖尿病の方は、バセドウ病が悪化すると血糖値のコントロールが悪くなることもあります。適切な治療で甲状腺ホルモンのコントロールを行うと本来の状態に改善します。
甲状腺機能亢進症では、骨の代謝回転が早く、骨密度が減少することが知られています。閉経後の女性や高齢の場合には、骨粗鬆症のリスクがいっそう高くなります。バセドウ病の治療により甲状腺機能が正常化すると、骨の代謝回転が次第に平常の状態にもどり、骨密度は1~2年かけて次第に回復してきます。
爪の変形(二枚爪)、皮膚の白斑、前脛骨粘液水腫(すねから足の皮膚の一部が腫れて色が黒くなる)などの症状を伴うこともあります。