バセドウ病では、次の3つが代表的な症状(Merseburg (メルセブルグ)の三徴)とされています。
しかし、3つとも症状が現れる方もいれば、そうでない方もいます。
(1)甲状腺腫
(2)眼球突出
(3)頻脈
甲状腺腫とは甲状腺がはれている状態を指します。
バセドウ病では、多くの場合甲状腺が全体的にはれる「びまん性甲状腺腫」を認めます。中には甲状腺のはれに左右差がある方や、はれをほとんど認めない方もいます。
眼球突出をはじめとした目の症状(甲状腺関連眼症)は、バセドウ病の特徴的な症状です。眼球突出だけでなく上まぶたがはれる「眼瞼腫張」、まぶたが上がってしまう「眼瞼後退」、物が二重に見える「複視」なども眼症状の一つです。もちろん、このような症状を認めない方もいます。詳しくはこちら
甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を高めるホルモンです。甲状腺ホルモン過剰の状態では新陳代謝が異常に高くなり、多汗、暑がり、食欲亢進、体重減少などの症状が起こります。また、内臓の働きも活発になり頻脈や便通の異常(軟便、下痢、頻回な便通)も認めます。他には手足のふるえ、倦怠感などもよく見られる症状です。精神的ないらつき、不眠、集中力の低下などが原因で大人では仕事の能率の低下、子どもでは成績の低下がみられることもあります。
図1では当院に来院した患者様の治療前の症状を多いものから列挙しました。
バセドウ病では多彩な症状が認められますが、その現れ方は個人差が大きく様々です。また、図2-1,2-2で示すように様々な年代で現れる症状は違います。甲状腺のはれは若い方に目立ち高齢者はあまり認めず、体重減少は高齢者に多く、若い方では逆に食欲が亢進して体重が増える方が多いようです。